住宅ローン35年間の総返済額と完済時の手元純資産格差を1円単位で完全シミュレーション。金利上昇リスクと新NISA差額運用の損益分岐点を検証!
今回は、人生最大の買い物であるマイホームの究極の2択、「住宅ローンは変動金利と全期間固定金利のどちらを選ぶべきか」を、借入5,000万円・35年返済のリアルな数字で1円単位まで完全比較します。
現在、日本で住宅ローンを組む人の実に約75%以上が「変動金利」を選んでいます。しかし、不動産営業マンの「5年ルールがあるから金利が上がっても5年間は返済額が変わりませんよ」という甘い言葉を鵜呑みにしていると、毎月の引き落とし額は同じなのに元本が全く減らない『未払利息』の地獄に直撃します。
マイホームを購入する方の間では、今まさに2つの意見が真っ向から対立しています。「日銀が利上げを始めた以上、多少高くても全期間固定金利で35年間の返済額を確定させるべきだ」という固定派と、「固定金利は最初から高すぎる、どうせ日本の金利なんて急には上がらないから変動0.5%一択だ」という変動派です。
ここで一番やってはいけない最悪のパターンが、ハウスメーカーの営業マンに「変動0.5%なら月々12万9,000円で5,000万円も借りられますよ!今の家賃と変わりませんね!」と乗せられて、1円の余裕もないギリギリの予算で5,000万円のフルローンを組んでしまうことです。金利0.5%が35年間ずっと続くと信じるのは、一生雨が降らないと信じて傘を持たずに登山するようなものですね。
そこで今回は、最も現実的なモデルケースとして「借入額5,000万円・35年元利均等返済・ボーナス払いなし」を基準に設定します。この条件で、「①変動金利0.5%が35年続いた場合」「②全期間固定金利1.9%で確定させた場合」「③変動金利が段階的に2.5%まで上昇した場合」の3つのルートを1円単位で徹底解剖していきます。
本記事の後半では、高い固定金利を銀行に払うことなく、変動金利の安さを活かしつつ新NISAで自分専用の防波堤を作る『セルフ固定化ヘッジ戦略』まで具体的に解説します。これから家を買う方も、すでに変動金利で返済中の方も、数百万円の損失を防ぐためにぜひ最後までご覧ください。
| 返済プラン(借入5,000万円・35年返済) | 当初の毎月返済額 | 35年間の総支払額 | 完済時の新NISA資産(差額運用) |
|---|---|---|---|
| 全期間固定金利(年1.90%) | 約163,075円 | 約6,849万円(利息1,849万円) | 0円 |
| 変動金利(0.5%→2.5%へ上昇・無策) | 約129,792円(11年目〜約19.5万円) | 約7,739万円(利息2,739万円) | 0円 |
| 変動金利+固定との差額月3.5万を新NISA運用 | ローン12.9万円+積立3.5万円 | 金利上昇時も新NISA資産で一括相殺可能 | 約3,976万円(年利5%想定) |
まずは第1幕として、なぜこれほど多くの人が変動金利を選ぶのか、その圧倒的な「初期の安さ」から確認しましょう。5,000万円を35年、変動金利0.50%で借りた場合、毎月の返済額は12万9,792円です。もし35年間一度も金利が上がらなければ、35年間の総支払額は5,451万円となり、利息はわずか451万円で済みます。
一方、最初から安心を買って「全期間固定金利(年1.90%)」で5,000万円を借りた場合はどうなるでしょうか。毎月の返済額は初月から16万3,075円となります。変動0.5%と比べると、毎月の支払いがいきなり3万3,283円も高くなります。年間にすると約40万円もの差額です。
全期間固定1.9%の35年間の総支払額は6,849万円で、そのうち銀行に払う利息だけで1,849万円にも達します。変動0.5%据え置きの総支払額5,451万円と比較すると、その差は実に1,398万円、約1,400万円です。高級外車が2台買えるほどの金利差を見せられたら、誰もが変動金利を選びたくなるのも無理はありません。
さらに、変動金利には初期の元本が猛スピードで減るという大きなメリットもあります。1ヶ月目の返済額の内訳を見ると、変動0.5%は利息がわずか2万833円で、残りの10万8,959円がすべて元本返済に回ります。一方、固定1.9%は1ヶ月目の利息だけで7万9,167円も取られ、元本は8万3,908円しか減りません。
しかし、ここまでの話はすべて「超低金利0.5%がこれからもずっと続けば」という前提条件の上に成り立っています。なぜ全期間固定金利が毎月3万3,000円も高いのかといえば、それは今後35年間のうちに起きるかもしれないインフレや金利上昇リスクを、銀行側がすべて肩代わりしてくれる「保険料」が含まれているからです。
つまり変動金利というのは、本来なら「金利が上がった時にいつでも自力で対応できる貯蓄や運用資産がある人」向けの玄人商品なんです。それなのに、頭金ゼロで毎月3万3,000円高い固定金利が払えないからという理由で変動金利を選ぶのは、一番リスクに弱い人が一番リスクの高い爆弾を抱えている状態と言えますね。
では、実際に日銀の利上げによって変動金利が0.5%から1.5%、2.0%、2.5%へと上がっていった時、あなたの住宅ローン口座の裏側では一体何が起きるのでしょうか。ここから第2幕、多くの人が完全に誤解している『5年ルール・125%ルール・未払利息』の恐怖のメカニズムを解剖します。
まず1つ目の罠が「5年ルール」の本当の意味です。多くの銀行の変動金利では、半年ごとに適用金利が見直されますが、毎月の返済額自体は5年間変わらないという『5年ルール』があります。これを聞いて「なんだ、金利が上がっても5年間は銀行が負担してくれるんだ」と思っている人がいますが、それは100%間違いです。
具体的に1円単位で計算してみましょう。当初3年間は金利0.5%で順調に返済し、3年終了時点でローン残高が4,605万円まで減ったとします。ここで4年目に金利が0.5%から1.5%へ1%上昇したとしましょう。5年ルールがあるので、通帳から引き落とされる金額は毎月12万9,792円で1円も変わりません。
しかし、その12万9,792円の中身を見てください。残高4,605万円に対して金利が1.5%になると、毎月の利息は1万9,000円から一気に5万7,562円へと約3倍に膨れ上がります。その結果、元本返済に回るお金は11万円から7万2,230円へと急減してしまうのです。毎月同じ約13万円を払っているのに、借金が減るスピードに急ブレーキがかかります。
そして最も恐ろしいのが3つ目の罠、『未払利息(みばらいりそく)』の発生です。もし残高4,600万円の時点で金利が3.5%まで跳ね上がったと仮定すると、1ヶ月分の利息だけで13万4,166円になります。毎月の返済額12万9,792円をすべて利息に充てても、毎月4,374円ずつ利息が足りません。
するとどうなるか。毎月12万9,792円を真面目に払っているのに、住宅ローンの元本は1円たりとも減らないどころか、払いきれなかった利息が『未払利息』という隠れ借金として毎月裏で積み上がっていくんです。一所懸命ルームランナーで走っているのに、ベルトコンベアの速度が速すぎて後ろに流されているような状態ですね。
しかも、最近ではネット銀行の一部などで、そもそもこの「5年ルール」や「125%ルール」自体を廃止している住宅ローンも増えています。その場合は、半年ごとに金利が上がるたび、翌月からダイレクトに毎月の返済額が数万円単位で跳ね上がります。どちらにしても、金利上昇分の支払いを銀行が1円でもマケてくれることは絶対にありません。
また、多くの人がやりがちな失敗が「変動金利が本格的に上がってきたら、その時に固定金利へ借り換えればいいや」という作戦です。しかし、金融市場のルール上、長期固定金利(10年国債利回り)は、日銀が政策金利を上げて変動金利が上がるよりも常に『先回りして上昇』します。
つまり、変動金利が1.5%や2.0%に上がって「そろそろ怖いな、固定に逃げようか」と思った時点では、全期間固定金利はすでに3.0%や3.5%のはるか雲の上まで跳ね上がっており、さらに借り換え手数料も100万円近くかかるため、事実上逃げ場がなくなっているのです。
では、実際に変動金利が段階的に上がった場合、35年間の総支払額はいくらになり、どのタイミングで「最初から全期間固定1.9%にしておけばよかった」という逆転ラインを超えるのでしょうか。ここから第3幕、10年後・20年後・35年後の総支払額レースを1円単位で見ていきましょう。
まずは返済開始から「5年経過時点(60ヶ月後)」の元本残高を見てみましょう。全期間固定1.9%は毎月16万3,075円を払い、5年後のローン残高は4,472万円です。一方、変動金利で当初3年0.5%、4年目から1.5%に上がったケースでは、5年ルールで毎月12万9,792円のままですが、5年後のローン残高は4,432万円となり、まだ変動の方が元本も多く減っています。
しかし、悪夢が始まるのは6年目以降です。6年目から金利が2.0%に上がり、11年目から2.5%へ上がった本格利上げケースを見てみましょう。6年目の見直しで毎月の返済額は12万9,792円から16万2,240円へと一気に月3万2,448円も跳ね上がり、この時点で全期間固定1.9%の毎月返済額とほぼ同じになります。
そして11年目以降、金利2.5%が定着すると、変動金利の毎月返済額は19万4,800円まで膨れ上がります。子どもの教育費が一番かかる40代・50代のタイミングで、住宅ローンの引き落としが当初の月13万円から月19万5,000円へ、毎月6万5,000円、年間で78万円も増えたら、普通の家計はひとたまりもありません。
35年間の最終的な総支払額を比較すると、結論は極めて明快です。もし変動金利が0.5%から1.5%程度の小幅な利上げで35年間止まってくれれば、総支払額は6,295万円となり、全期間固定1.9%の6,849万円よりもまだ554万円安く済みます。これが変動金利が勝てる上限ラインです。
しかし、もし6年目以降に変動金利が2.0%を超え、2.5%へと上昇した場合、35年間の総支払額は7,739万円まで膨張します。最初から全期間固定1.9%で借りていれば6,849万円で済んだはずが、変動を選んだせいで890万円も多く支払う大逆転負けとなるのです。
ここで多くの方がこう思うはずです。「将来、日本の変動金利が1.5%で止まるか、2.5%まで上がるかなんて、神様でもない限り誰にも正確に予想できないじゃないか」と。その通りです。だからこそ、どちらか片方に全賭けするギャンブルをしてはいけないのです。
安心してください。ここから第4幕として、銀行に高い固定金利を払うことなく、かつ金利が2.5%に跳ね上がっても絶対に破綻しない最強の処方箋、『変動金利+新NISAによるセルフ固定化ヘッジ戦略』を1円単位で公開します。
やり方は驚くほどシンプルです。まず住宅ローン自体は、金利が圧倒的に低く元本が早く減る「変動金利0.5%(毎月12万9,792円)」で借ります。ただし、家計簿の上では「全期間固定1.9%(毎月16万3,075円)で借りたつもり」になって、毎月16万5,000円を住宅費として天引きするのです。
すると、固定金利との差額である「毎月3万5,000円」が浮きますよね。この月3万5,000円を1円も使わずに、初日から新NISAのつみたて投資枠で、全世界株式(オルカン)やS&P500に積み立てていきます。過去の長期平均に基づく年利5%で運用できたとすると、10年後に何が起きるでしょうか。
10年間で積み立てた元本420万円は、複利効果によって約543万円の非課税資産へと成長します。もし10年後に変動金利が2.0%や2.5%へ急騰して毎月の返済が苦しくなりそうなら、この新NISAの543万円を使って『一部繰り上げ返済』をぶち込めばいいのです。元本が一気に543万円も消えるため、その後の利息負担を数百万円単位で吹き飛ばせます。
そしてさらに凄いのが、もし今後も日本の金利がたいして上がらず、1.0%〜1.5%程度で推移した場合です。全期間固定1.9%を選んだ人は、毎月払った差額の3万5,000円がすべて銀行の利益として消えてしまいます。しかし、セルフ固定化ヘッジで新NISAに毎月3万5,000円を35年間積み立て続けた人は、35年後に手元にいくら残るでしょうか。
なんと、毎月3万5,000円の積立元本1,470万円に対し、年利5%の複利運用益が2,506万円も乗って、住宅ローンを完済する35年後には『約3,976万円』もの非課税資産があなたの手元に丸ごと残るのです。家が自分の資産になるだけでなく、老後資金約4,000万円まで同時に完成してしまいます。
ここで、さらに絶対に知っておくべきもう1つの重要ポイントをお伝えします。それは「住宅ローン控除(減税)」と「団体信用生命保険(団信)」を活かすため、金利が低いうちは絶対に焦って繰り上げ返済をしてはいけないという鉄則です。
もし手元に500万円の現金がある時、それをすぐに繰り上げ返済で銀行に返してしまったら、その直後に万が一のことがあっても500万円は戻ってきません。しかし、新NISAや手元資金として残しておけば、万が一の時は団体信用生命保険で住宅ローンがゼロになり、家族には借金のない家と500万円の資産の両方が残るのです。
では、一体どのタイミングで新NISAや手元資金を使って繰り上げ返済に動くべきなのでしょうか。その明確な判断基準は、『住宅ローン控除の期間(13年間)が終わり、かつ変動金利が2.0%〜2.5%を超えて上昇してきた時』です。それまでは新NISAで非課税運用を続け、資産の防波堤をどんどん高く育てておくのが最も合理的です。
もちろん、すでに変動金利で住宅ローンを返済中の方や、どうしても投資の値動きが怖くて夜も眠れないという方もいらっしゃると思います。そこで最後に、世帯タイプ別の「最適解(変動か固定か、どう備えるべきか)」を3つのパターンに整理しました。
もしあなたが「手元にお金があるとついつい外食や趣味に使ってしまう」「金利ニュースを気にして暮らすのがストレスだ」というタイプなら、迷わず「全期間固定1.9%」か、半分を固定・半分を変動にする「ミックスローン」を選んでください。毎月3万3,000円の差額は、35年間の心の平穏を買うための立派な必要経費です。
そして、すでに変動金利で返済中の方は、今すぐ「もし自分のローン金利がプラス1.5%〜2.0%上がったら、毎月の返済額が約3万円〜6万円増える」と想定し、スマホ代や不要な保険などの固定費を見直して、今から毎月3万円以上の『新NISA・金利防衛積立』をスタートさせてください。
特に見落としがちなのが、住宅ローンを組んで団体信用生命保険に入ったのに、独身時代や結婚当初に入った毎月1万5,000円〜2万円の民間の死亡保険をそのまま払い続けているケースです。保障が完全にダブっていますから、これを整理するだけでもセルフ固定化ヘッジの原資は簡単に作れます。
今回の検証のまとめです。5,000万円・35年ローンにおいて、変動0.5%がもし2.5%まで上昇すると、5年ルールの中で元本が減らなくなり、総支払額は7,739万円へと膨らんで全期間固定1.9%(6,849万円)に890万円差で逆転負けします。だからこそ、変動で借りるなら必ず固定との差額月3万5,000円を新NISAで積み立てる『セルフ固定化ヘッジ』を徹底してください。